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第七章・19
「雄猫のおちんちんには逆棘が付いてるらしくてね。それで抜く時に痛いもんだから、雌猫はあんなに怒るんだよ」
「そうなんですか」
「怒った雌に攻撃されないように、雄は首を噛んでまぐわうのよ」
「なるほど~」
対象が猫とはいえ、赤裸々に性に関する話を楽しんでいる要人とお婆さんだ。
そんな二人の会話に首まで赤くなりながらも、自分はこうじゃなかったはず、と優希は考えていた。
(以前なら、ネコの交尾なんか平気で口にしてたはずなんだ、僕も)
それがことさら意識して恥ずかしがるようになったのは、外でもない要人と恋人として付き合い始めたからだ。
(ここに来る途中で、キスしちゃったし)
ネコに、自分と要人を重ねてしまったのだ、きっと。
そして……。
(そしてそのうち、僕と要人もあんな風に……!?)
優希は眼を固く閉じ、ぶるんとひとつ首を振った。
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