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第七章・22

「貝原らしいなぁ。食には妥協なし、か」 「俺は食べられさえすれば、多少の火加減なんか気にしないんだけどね。自信がないから、優希の意見も聞かせてくれよ」 「うん、僕でよければ」  そんないきさつを経て、優希を自宅へ招き入れることに成功した要人だ。  心の中では小躍りしながら、且つ、一抹の不安も感じながら、自分で食事の準備を始めた。 「僕も何か手伝うよ」 「いや、大丈夫。すぐ済むから、座ってて」  要人は優希を待たせてあるリビングへ、次々と料理を運んだ。  例の筍ごはんに、副菜を少々加えて食卓の完成だ。  優希をソファに座らせなおして、二人料理に向き合った。  そして一口、食べてみて……。 「おいしい!」 「うん、美味い!」  山丘の筍ごはんは、想像以上に美味しかった。  筍のコリコリとした食感に加えて、心地よいねっとりとした別の食感も味わえるのだ。

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