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第七章・26

「アルコール度13.50%、飲み頃温度は8℃だって。少し冷やしすぎたかな」  ワインのラベルを見せるように、優希へと身を寄せてくる要人だ。  素面だったら身を固くするところだが、ワインの力は絶大だった。  優希は特に抵抗なく、要人の持った瓶を覗き込んだ。 「度数が13%以上あるのかぁ。ビールはせいぜい5.0%前後だから、僕が酔っ払っちゃうわけだ」 「そろそろ眠くなってきたんじゃないか?」  要人は酔いをいいことに、優希の髪にそっと触れて弄り始めた。  されるがままに、ただ口先だけで反撃する優希は、すっかりのぼせてしまっている。 「要人は? 君、ワインを三杯も飲んだくせに酔っぱらったり眠くなったりしないのか?」 「俺はほら、オジサンだから」  あはは、と優希は顔を上にあげて明るく笑った。  髪が跳ね、白い首筋が要人の目の前に露わになった。  そう。これを待っていたのだ。  要人は無言で優希の首に顔を近づけ、軽く甘く、だが深く噛んだ。

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