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第七章・28
「ごめん、痛かったのか?」
「いや、そうじゃなくって」
気持ち悦かった
そう、耳元で囁かれた。
ぞくりと、優希の背筋に震えが走った。
悪寒ではない。
突き上げてくる、熱い衝動。
「今度は俺の番。噛んでもいい?」
「う、ぅん」
要人は再び優希の首筋に顔を埋めた。
ああ、いい匂い。
優希の匂いだ。
今まで付き合ってきたガールフレンドたちは、皆なにかしらの匂いがした。
それはトワレだったり、ヘアコロンだったり。
しかしそれらは、人工的に作られた香り。
彼女たちそのものの匂いではなかった。
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