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第七章・32
「やばい。これはマズイよ、優希」
頭を冷やせ、と自分で自分に言い聞かせ、優希に体を預けてみる。
百戦錬磨の要人とは違い、優希は言われるがまま首筋に固執している。
ただ、噛むだけではなくキスを何度も落としたり、ふと首ではなく耳を噛んでみたりと、彼なりに変化をつけるようになってきた。
そんな優希がたまらなく可愛らしく、愛おしく。
要人はすっかり発情してしまっていた。
「ホントに、ダメだ。最後まで……ヤッちゃいたくなってきた……」
優希は、と見ると、すっかり体から力を抜いて要人の下で喘いでいる。
要人は慌ただしく、彼に許しを乞う事にした。
「優希、俺のこと好き?」
「うん……」
「今、すっごく気持ちイイよね!?」
「うん……」
「あの、さ。さッ最後まで。このまま、最後まで行ってもいい!?」
「……」
「優希?」
返事が、ない。
代わりに、すぅすぅと安らかな呼吸が。
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