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第七章・33
「ちょ、ちょっと、優希? ねえ、優希ったら優希!?」
軽く頬をぴたぴたと叩いてみたが、優希はもうすっかり眠り込んでしまっていた。
何という迂闊ッ!
「でも……」
幸せそうな優希の寝顔を眺めているうちに、これで良かったんだ、と気持ちが落ち着いた。
「酔ったところをいただいちゃう、なんて卑怯だよな」
とにかく、Bの入り口までたどり着いたのだ。
今日はこれで上出来だ。
後は優希を抱えて寝室へ運び、ベッドに休ませてあげた。
起きた時、彼が恥や不信を感じないよう、自分はリビングのソファに横になった。
「あぁ、でも悦かった~」
自分で自分の首筋を撫でながら、優希から受け取った愛情を反芻しながら、要人は眠りに就いた。
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