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第七章・37

「幽霊でも怖くないよな。あのお婆さんなら」 「そうだな。また会えるといいな」  アイスティーをストローで吸いながら、要人は眼を閉じ心の中で老婆に語りかけた。 (おかげさまで、Bの入り口まで到達しました。今度はぜひ、Bの中ほどまで……)  そんな彼の足もとに擦り寄ってきたのは、やけに丸々とした黒猫だった。  にゃあ、と要人に鳴くその声は、がんばりなさいよ、とあの老婆が応えてくれたように感じられた。

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