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マイナスから。
俺の病気の事が分かって数日。
母は俺の家に泊まっている。
実家は車で2時間ほどと、そんなに遠くはない。
今すぐどうこうなるという病ではないから
帰ったらどうか、という提案はあっさりと拒否され今に至る。
母が来た翌日。
俺は母と共に病院へ行った。
再び病気の説明や、今後の方針を決めた。
これといった治療法がない為、入院ということは今のところなく、生活も基本的には変えないということになった。
但し、何かあればすぐに来院してくれとのことだった。
俺はまず上司に連絡をし、今後の勤務をどうするか考えた。
俺としては生活もあるし、できるだけ仕事をしていたい旨を伝えると、上司は二つ返事でOKしてくれた。
もし出社が厳しいようなら在宅で構わないとも言ってくれた。
この時ばかりは上司の懐の深さに泣いた。
普通ならば辞めろと言われてもおかしくない状況だが
「お前はウチに必要なメンバーだからな」とまで言ってくれた。
この会社で本当に良かったと心から思った。
あとは……と俺はやり残しが無いようにと、指折りやらなければならないことを数えていく。
会社のことは大丈夫、家の事も俺が亡き後は母に頼んである。
(後悔があるなら、整理しておきな)
母の言葉が過ぎった。
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