9 / 32
マイナスから。④
送ったメールは案の定、エラーで返ってきた。
仕方ない、というかダメ元だし
予想の範囲内だ。
普段ならば諦めているだろうが
何せ俺には時間がない。
こうしている間にも、病が俺を侵している。
自覚らしい自覚がないから、なんとも妙だが
それは確実に俺を蝕む。
俺は一ノ瀬と共通の友人に連絡を取り
現在の番号を教えてもらった。
「お前ら親友なのに知らないのか?」と笑われてしまった。
ついでに、と一ノ瀬の勤め先も教えてくれた。
良い友人を持ったな、と改めて思った。
さて、いざ連絡先を知ると緊張する。
番号に電話をかけるべきか
職場に偶然を装って行くべきか。
どちらの手段も下手をすればスルーされる可能性が高い。
しかし、職場を聞いて驚いた。
一ノ瀬は大学の助教授になっていた。
思えば俺は高校卒業後の一ノ瀬を全く知らない。
2日程悩み、一ノ瀬の職場に興味が湧いた俺は、大学に行くとこにした。
ともだちにシェアしよう!