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それは確かに。③

柳さんが落ち着くと看護師を呼んでくれた。 ひと通り検査をし、再び病室に戻ると すっかりいつもの柳さんになっていて 今回の件についてしっかり説教された。 その後、検査の結果を告げに来た主治医にも しっかりお叱りを受けた。 今回は結果として過労によるものだが 念の為少しの間入院することになった。 仕事を詰め込んでも特に体調に変化もなかった為に 油断していた。 自分が病気であることを軽んじた結果 柳さんにも他のメンバーにも迷惑と心配をかけてしまった。 「じゃあ、俺は帰るけど。 お前、暫く仕事禁止な!」 「あー、はい。すみません、お疲れ様です」 柳さんはいつも通り、笑って帰っていった。 今回のことは完全に俺に責任がある。 一ノ瀬のことをどうにかするにしても 体調も管理出来ないのでは元も子もない。 俺は不治の病だ。 それは確実に俺を蝕んでいる。 今、こうしている間にも。 それでも時間は過ぎていく。 俺は後悔を残さないでこの世を去る。 なら、今出来ることをしっかりやっておこう。 もう一度一ノ瀬と向き合うために 柳さんやメンバーのみんなに心配をかけないために 俺は俺をあと少し大切にしてやろう。

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