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それでも。1

俺と一ノ瀬はあの日以来友人として、よく会うようになった。 俺は相変わらず柳さんからの許可が降りず在宅ワークをしている。 自宅にいるため幸いなことに、一ノ瀬と会うための時間が作りやすい。 通院日は極力会わないと決めた。 きっと心配して、気を遣わせてしまうから。 俺は病気のことを隠した。 これは俺の勝手な事情だが 一ノ瀬は俺が病気であること、治らないこと、死んでしまうこと そんなことは知らなくていい。 幸い、今は体調に大きな変化はない。 というより、本当に病気なのかと疑うほどいつも通りだ。 まぁ、レントゲンや検査結果を見せられながら 医師に説明されたので間違いはないのだが。 どうしても自覚らしい自覚はない。 病気のことは納得しているし 俺がどうにか出来る問題でもない。 それに、一ノ瀬とも再会することが出来た。 あとは昔のような関係になれたら一番なのだが それはオマケ程度で良いとする。 今は一ノ瀬と都合を合わせて 出掛けたり、食事をしたり、遊んだりすることが 何より楽しい。 今日も一ノ瀬の仕事が終わり次第、食事に行くことになっている。

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