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それでも。2

待ち合わせは決まって、大学のあのカフェ。 大学が終わったその足で行く方が合理的だろうと毎回そうしている。 2人共休み(といっても俺は殆ど休みみたいなものだが)の時は目的地に現地集合だったりするが、大学のカフェの方が行き違いがなくて良い。 俺が頻繁に出入りするものだから 守衛のおじさんやカフェのお兄さんとはすっかり仲良くなってしまった。 勿論、事務員のおばさん、もとい、ルリ子さんとは 一ノ瀬を待っている間の茶飲み友達だ。 今日も今日とて仕事を早々に終わらせた俺は カフェで一ノ瀬を待つ。 いつものようにコーヒーを注文し、いつもの席に座る。 いつものように手持ちの小説を読む。 最近は時間が空けば小説を読んでいる。 元々読書は好きなほうで、昔はよく読んでいたが 社会人になり、読む暇がなく 気づけば買った「だけ」の本が本棚に収まっている。 今はその本たちを消費している最中だ。 幸せな時間だと思う。 好きな小説を読みながらコーヒーを飲み 好きな人を待つ。 たまに新しくできた友人と話をし、笑い合う。 今までの俺なら考えられないことだろう。 あまり社交的な人間ではない俺は 病気にならなければ、こんなに交友関係も広くならなかったろう。 矛盾にはなるが、その点においては病気に感謝かもしれない。 でなければ一ノ瀬とも再会出来なかった。

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