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第1話 DKとインキュバス・3

「はぁ」  ともあれ今日も無事に帰宅することができた。何の不安もなく心の安らぎを得られる我が家、俺の部屋。母さん達はしばらくの間仕事を兼ねた海外旅行で日本にはいないし、当分はのんびりと一人で好き勝手に過ごせるのが嬉しい。  早速俺は着替えてから自室に籠り、ジュースとスナック菓子で寛ぎながらスマホで好きなゲーム実況動画を再生させた。  腹が満たされると今度は別の部分を満たしたくなってくる。男の性に従って、俺はスマホの画面をゲーム動画からエロ動画へとシフトさせた。  人の性癖は様々だ。自分の意思では変えようがない部分であり、他人がとやかく言う権利はない。当然誰かを傷付けたり犯罪に繋がるそれは別物だが、妄想や自慰に使うだけなら何だってアリだと俺は思う。  つまり何が言いたいのかと言うと、俺のオカズは誰が何と言おうと「制服モノのDK同士」。密かに彰良先輩を妄想したって現実には持ち込まないのだから、プライベートな時間くらい好きにしたっていいじゃないか。  いつも世話になっている動画サイトで「制服 DK」を検索し、ズラリと並んだサムネイルから「当たり」を引く。学ランのイケメンなら誰でもいいけれど、出来れば柔らかい茶髪で優しそうな顔立ちの…… 「よし」  一つのサムネイルをタップすると、すぐに重要シーンの再生が始まった。ちなみにこのサイトは違法ではなく、れっきとしたAVメーカーが運営しているサイトだ。だから俺が見ているのは無料サンプルであり、続きが見たいなら購入を、というシステムになっている。  俺くらいになるとサンプル動画を見るだけで妄想を膨らませられるから、このエロ動画はきっかけに過ぎない。僅か二、三十秒のサンプルを見終われば頭の中で続きを再生できる。今俺の妄想内では、彰良先輩が優しい笑みを浮かべながら俺のそこを握っていた。 「ん、あ……」  扱いている手は俺のものだけど、頭の中でそれは彰良先輩の手になる。あんなに綺麗な顔なのに手付きは卑猥で、俺が好きな所ばかりを絶妙な強さで攻めてくれている。 「うっ、あぁ……」  家族もいないから声も出せるし、覗かれる心配もないから大胆な恰好もできる。俺は大股開きで背中を仰け反らせ、一心不乱に自身のそれを扱きまくった。 「あぁっ、先輩、……彰良先輩っ……!」 「炎樽」 「え、……なに……う、うわあぁっ?」  突然部屋のドアが開き、ニューヨークにいるはずの母さんが現れた。全身からぶわっと汗が噴き出る。俺は下半身丸出しで、自分のそれを握ったままだ。

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