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第2話 男子高校生のフラグ・12

「──うわっ!」  頬に天和のソレが押し付けられて顔を背けると、天和の手に髪を掴まれ無理矢理にその先端で唇をこじ開けられてしまった。 「ん、んぐっ、……んん」 「当たり」  不敵に笑って俺を見降ろす天和。これはもう見えてるとか見えていないとかの問題ではなくて、「慣れてるか慣れていないか」だ。長年の経験を経て覚えた間合いや力加減を駆使し見事に俺の口を狙うという神業、まさにプロの仕事。  ──って、感心してる場合じゃない! 「は。お前の口に入れた途端、俺のチンポが消えたんだけど? コレも透明になってるってことか」 「ん、んあっ……やだ、っ……」 「責任持って手伝えよ、炎樽。お前が先に仕掛けてきたんだからなァ……」  マカロはどこにいるか分からない。絶対同じ空間にはいるはずだけど、自分に火の粉が降るのを恐れて存在をバラさないつもりなのだろう。クソ。薬の効果が切れたら文句言ってやる。 「オラ、しっかりしゃぶれよ炎樽」 「んっ、ん……んゃ、あ……」  苦しくて涙目になってしまうが、その涙もまた透明で天和には認識してもらえない。舌の上に擦り付けられて苦い味が広がり、あろうことか溜まってきた唾液と一緒にそれを飲んでしまった。 「うえぇ……変な味」 「っは、……覚悟しろよ炎樽」  俺の口からそれを抜いた天和が自分の手で扱き始める。凶悪なカタチをした天和のそれはしっかりと俺の方を向いていて、今まさに、俺の顔めがけて── 「うわっ……!」  ぶちまけられた体液が容赦なく俺の顔に引っかかる。青臭い匂いが個室に溢れ、姿は見えないけれどマカロは目を回していることだろう。 「……変な感じだわ。俺のザーメンが空中で飛んだまま止まってる」 「と、止まってない! 全部俺の顔にかかってるから! ちょっと拭いて拭いて! 制服に垂れる!」 「垂れても見えねえよ。それよりお前、これで終わりとか思ってねえだろうな」 「……へ?」  茫然とする俺の方へ延ばされた天和の手が、俺の腕を取って立ち上がらせた。何だってこうも的確に掴んでくるんだ、こいつは。 「わっ、ちょっとやめ……」 「大人しくしてろよ。イタズラの仕置きとしては、ちっと気持ち良過ぎるかもしれねえけどな」  後ろから学ランごと中のシャツを強引に捲られ、透明な俺の肌の上を天和の手が深く滑って行く。 「熱くなってるぜ。お前が乳首で感じるってのは今朝実証済みだし、秒で勃起させてやるよ」  耳元に響くローテンションボイス。その声で卑猥なことを言われると何故だか体がぞくぞくして、せっかくの透明化なのに不意打ちの抵抗もできない……。 「──やっ、ぁ……。たかとも、やめて……!」  指先で左右の乳首を捏ねられ、思わず背中を反らした。軽く摘ままれて指で転がされ、また軽く引っ張られて、弾かれて、圧し潰されてまた転がされる。天和のそれはただめちゃくちゃに弄っている訳ではなく、相手を翻弄するための熟練された指使いだった。 「舐め回してぇけど、流石にそれは見えねえと無理だな」 「うう、あ……あ、もう、許し、て……」 「もう勃ってんだろ。このままだとパンツの中でイくんじゃねえの」  そんな訳あるか。言い返したいのに、喘ぎ以外の言葉が出てこない。 「やぁっ、あ……、乳首、やだ、ってば……!」 「すっげぇモロ感。あいつらがお前のこと放っておかねえの、何か分かった気がするわ。無自覚ビッチだろ、お前。だから常にエロい匂いさせてんじゃねえのか」 「ひ、どい……あぁっ!」 「ますます気に入ったぜ、炎樽。こちとら後輩の誘い断ってんだ、その分お前が相手してくれるんだろ」  そんなの自分の都合だけで、俺は関係ないのに。 「も、もう弄るなってば……! あっ、あ……やあぁっ……」 「イくまで触っててやるから、自分で出して扱けよ。どうせ見えねえんだし恥ずかしくねえだろ」 「あ、う……」  嫌なのに手がファスナーを下ろしてしまうのは、このまま本当に乳首だけで達しそうになってしまったからだ。天和が言うように俺はビッチなんだろうか。……だってこんなの、妄想以外で全然経験したことないのに、……気持ち良いのが、止まらない。

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