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第3話 秘密の土曜日・8
焦りつつも俺はどこか安堵していた。炎樽は顔を真っ赤にさせて俺を睨んでいるが、怒ってくれるだけ有難い。
傷付けて泣かせてしまうよりも、気の済むまで殴るなり頭突きなりしてくれた方がマシだ。
「悪い。最近俺に構ってくれねえから、ついイタズラしたくなってよォ」
炎樽が殴りやすいようにわざと軽口を叩いてみたが、拳も頭突きも飛んでくる気配はない。
「………?」
「………」
炎樽の視線が俺から逸らされる。左右にキョロキョロと眼球が動き、それから、震える唇が小さく開かれた。
「……責任取れ」
「うん?」
自ら顔を近付けて炎樽の口元に耳を寄せると、
「責任取ってイかせろっての!」
「……、……!」
頭突きよりも強烈な怒声が鼓膜を突き破る勢いで耳に響いた。
「………」
そっと触れてみれば、炎樽のそれは芯を持ったままだった。これも全て俺のせいだが、どうやら炎樽は棚ぼた的なチャンスを俺にくれたらしい。
「……ただしケツには指一本入れるなよ。余計なことはせずに、ただイかせてくれればいい……」
「あ、ああ……」
さっき台詞の途中で理性が戻ったから、恐らく自分で吐いた言葉も覚えているのだろう。
──お前に触れてもらいたくて仕方ない。
「……炎樽」
やっぱりお前は最高の男だよ。
「悪かった。当然責任取ってやるぜ。お前に触れてきたこれまでより百倍は気持ち良くしてやる。最強の射精させてやっからな」
「って、急に鼻息荒くしてんじゃねっ……あぁ!」
短パンを下ろして炎樽のそれを露出させ、根元から先端にかけて何度も握ったり緩めたりを繰り返す。
「へ、へんな触り方っ……やっ、……」
「俺流マッサージ」
それから先端の割れ目を人差し指で刺激し、溢れる体液を塗り付けるように亀頭を愛撫する。
「くぅ、う……あっ、天和、ぉ……」
「……何だ、また乳首吸ってもらいてえのか?」
「いいっ! 余計なこと、するなって……!」
「余計じゃねえだろ」
捲られたままのシャツと、さっきまでの半端な刺激で続きを待っているかのように尖った乳首。
俺は唇を舐めて濡らし、下半身への愛撫を続けながら炎樽の乳首に思い切りむしゃぶり付いた。
「はぁっ……! あ、やだ、ぁ……!」
口の中でめちゃくちゃに転がし、わざと水音をたてて舐め回す。炎樽は床から背中を浮かせて仰け反り、拒否とも喘ぎとも取れる声をあげていた。
「やあっ、……やだやだ、両方、やだってば、ぁ……!」
「何でだよ、こっちのが早くイけんだろ。チンポはち切れそうだぞ」
「天和っ、ほんと、やだ……! 乳首は、……しなくていいっ」
この期に及んで、そこまで必死に拒否するようなことだろうか?
「……ああ、そうかい」
拒否の理由に気付いた俺は唇の端を緩め、炎樽の胸元から顔を上げた。
この口と舌は別の所に使えって、そういうことか。
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