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第3話 秘密の土曜日・10
「あぁっ!」
一度腰を引き、一気にまた差し込む。ペニスに感じる炎樽の熱に頭の中がくらくらしたが、押し付けるように腰を揺らしてくる炎樽のためにも俺がへたっている場合じゃない。
「やだ、天和……擦ったら、ぁ……!」
「やっぱ挿れるのと比べたら刺激としては物足りねえけど、なかなかこういうのもエロくていいな」
「あ、熱い……天和、擦れてっ、……」
ソファにあったクッションへと顔を埋めて喘ぐ炎樽。声が漏れないようにしているらしいが、そんな風に煽られたら俺だって我慢ができなくなるというのに。
「炎樽、……」
荒い息と共に名前を呼ぶと、炎樽がクッションに顔を伏せたまま「くうぅ」と子犬の鳴き声のような声を漏らした。
「チビが起きるぜ、炎樽。夫婦のセックスは子供にバレずにヤるモンだろ」
「セ、セックスじゃなっ……夫婦じゃねえっ! やっ、あぁっ……!」
炎樽が声を上げるお陰か、段々と俺も本物のセックスをしているような錯覚に陥り始めていた。額の汗を袖で拭い、更に強く腰を打ち付ける。炎樽も嫌がっているくせにしっかりと股を締めていて、本能では快楽を求めているのだと分かり嬉しかった。
「扱いてやるから一緒にイこうぜ、炎樽」
「ん、っ……、あっ、あ……! イ、く……天和っ……」
炎樽がぐったりと身を伏せてから数舜後、俺も締め付けられたまま絶頂を迎えた。
「く、は……」
「……天和のバカ。人んちのリビングで……」
「掃除すりゃいいんだろ、綺麗に磨いてやるよ」
それから十秒も経たないうちに、炎樽がその格好のままで突然寝息を立て始めた。尻丸出しで床に膝をつき、ソファに上体を預けた状態で、頬を赤くさせながら。
「………」
俺はその頬にキスをしてから炎樽の体を支え、ソファに横たえさせた。念のためにその辺にあったブランケットで腹から下を隠し、脚がぶつかる位置に寝ていたマカロを摘まみ上げて床に置く。
「ひやっ……」
心地好いソファから冷たい床に降ろされたマカロがその拍子に目を覚まし、そして床にぶちまけられた俺と炎樽の体液を見てひっくり返った。
「はあぁ、何て勿体ないことを……!」
「五分遅かったな」
「天和。炎樽とセックスしたの?」
「いや」
自分の下着とジーンズを穿き、マカロに水晶を投げて返す。
「それ、なかなか役に立ったぜ。効果は途中で切れたけど問題なしだ」
「催眠の効果が完全に抜けると、途端に眠くなるんだよ。炎樽も多分、夜まで起きないだろうな」
ソファによじ登って炎樽の寝顔を確認するマカロ。「満足そうに寝てる」。そう言って笑う奴の顔もまた満足気だ。
「俺、天和の役に立った?」
「まあな。今度はアレ寄越せよ。前に炎樽も使った透明になる薬」
「あれは高いんだから、そう簡単に言うなよなぁ」
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