114 / 122
第9話 マカロのたいへんないちにち・9
ぱちぱちと瞬きを繰り返した俺の視界に、不敵に笑うサバラの顔が現れた。どういう訳か突然、江戸山先生の姿がサバラに変わっていた。
「ふ、え……サ、バラ……?」
「マカロ」
「何で……?」
「何でも」
「──んあぁっ!」
そうしてまた先生の──じゃなくて、サバラの腰が前後する。すぐに体も頭もとろとろになって、訳が分からないながらも俺はサバラの体に抱き付いた。
「あんっ! ──あ、あぁっ! サバラ、激し、の……やだぁっ!」
「可愛いよマカロ。……ようやく一つになれた」
「ば、馬鹿あぁっ! あっ、あ! 奥だめっ、……ズンズンしたらだめっ……!」
「ふう、……」
サバラが俺の唇を塞いだ。舌が蕩けるような甘いキス……甘くて甘くて、もっと欲しくて、サバラのモノを受け入れているあそこが、きゅっと締まってしまう。
「マカロ、おねだりしてる?」
「……もっと、ぉ」
「いい子だ」
たっぷりと舌を絡めてから、サバラが軽いキスをおでこにくれた。
「──んぁっ、あ! 気持ちいっ、サバラッ! あぁっ……!」
「……こんなに素直になってくれるなら、始めから騙すような真似なんかしなければ良かったな」
「お、俺っ……サバラとセックス、してる、の……」
「ああそうだ。お前は俺の×××で泣くほど気持ち良くなってるんだよ、マカロ」
先生の時は嫌だったのに、相手がサバラと分かった瞬間に気持ち良くなるなんて。
それって俺、やっぱり、サバラのこと……。
「あぁっ、うあっ……! す、き……サバラッ、好き、……!」
「もちろん俺も好きだよ、マカロ」
何度も何度も引き抜かれて貫かれて奥をズンズンされながら、俺は生まれて初めての恋とセックスに悦びの声をあげた。
「マカロ、中で種出すよ。孕んだら済まないがっ……」
「だ、いじょぶ……俺、サバラとの子供、なら……欲し、……」
嬉しくって体の中が叫んでいる。大好きな男の種が欲しいと俺の一部がざわめいている。
「マカロ……!」
「あっ、──んん!」
無意識だから、どうやったかは分からないけど。
サバラの種が注ぎ込まれた今この瞬間、……俺の体のそこだけが、サキュバス化しているのがはっきりと分かった。
「はあ、……はぁ、あ……」
ぐったりと体をテーブルに倒し、俺は荒い呼吸を続けながらサバラを見上げた。腹には確かな命の種が植えられたようだ。みるみるうちに脈動する俺の中の命……俺とサバラの子孫。
「……ちょっとしたイタズラのつもりが、まさか子まで宿すことになるとはな」
「さ、最初から、……そのつもりだった、くせに……」
サバラが前髪をかきあげ、ふうと息をつく。
「デキ婚っていうらしいぞ、人間の世界では。孕ませた方が、孕んだ相手の人生の責任を取る」
「……も、もういいけどさぁ。どうすんだよ、この腹。産んだらちゃんとインキュバスに戻るんだろうな?」
「二人目、三人目を宿さない限りはな。ペニスもそのままだし腹の中がサキュバスになっただけで、生活に支障はないだろ」
「うー……。炎樽のこと守らなきゃいけないのに……」
「守ればいいさ」
そう言って、サバラが俺の手を引き身を起こさせた。
少し膨らんだ腹に手をあて、耳元で囁かれる。
「その代わりお前と腹の子は、俺が守る」
「………」
俺は顔を真っ赤にさせて頷き、今日突然俺の旦那になったこの男に抱き付いた。
ともだちにシェアしよう!