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第9話 マカロのたいへんないちにち・9

 ぱちぱちと瞬きを繰り返した俺の視界に、不敵に笑うサバラの顔が現れた。どういう訳か突然、江戸山先生の姿がサバラに変わっていた。 「ふ、え……サ、バラ……?」 「マカロ」 「何で……?」 「何でも」 「──んあぁっ!」  そうしてまた先生の──じゃなくて、サバラの腰が前後する。すぐに体も頭もとろとろになって、訳が分からないながらも俺はサバラの体に抱き付いた。 「あんっ! ──あ、あぁっ! サバラ、激し、の……やだぁっ!」 「可愛いよマカロ。……ようやく一つになれた」 「ば、馬鹿あぁっ! あっ、あ! 奥だめっ、……ズンズンしたらだめっ……!」 「ふう、……」  サバラが俺の唇を塞いだ。舌が蕩けるような甘いキス……甘くて甘くて、もっと欲しくて、サバラのモノを受け入れているあそこが、きゅっと締まってしまう。 「マカロ、おねだりしてる?」 「……もっと、ぉ」 「いい子だ」  たっぷりと舌を絡めてから、サバラが軽いキスをおでこにくれた。 「──んぁっ、あ! 気持ちいっ、サバラッ! あぁっ……!」 「……こんなに素直になってくれるなら、始めから騙すような真似なんかしなければ良かったな」 「お、俺っ……サバラとセックス、してる、の……」 「ああそうだ。お前は俺の×××で泣くほど気持ち良くなってるんだよ、マカロ」  先生の時は嫌だったのに、相手がサバラと分かった瞬間に気持ち良くなるなんて。  それって俺、やっぱり、サバラのこと……。 「あぁっ、うあっ……! す、き……サバラッ、好き、……!」 「もちろん俺も好きだよ、マカロ」  何度も何度も引き抜かれて貫かれて奥をズンズンされながら、俺は生まれて初めての恋とセックスに悦びの声をあげた。 「マカロ、中で種出すよ。孕んだら済まないがっ……」 「だ、いじょぶ……俺、サバラとの子供、なら……欲し、……」  嬉しくって体の中が叫んでいる。大好きな男の種が欲しいと俺の一部がざわめいている。 「マカロ……!」 「あっ、──んん!」  無意識だから、どうやったかは分からないけど。  サバラの種が注ぎ込まれた今この瞬間、……俺の体のそこだけが、サキュバス化しているのがはっきりと分かった。 「はあ、……はぁ、あ……」  ぐったりと体をテーブルに倒し、俺は荒い呼吸を続けながらサバラを見上げた。腹には確かな命の種が植えられたようだ。みるみるうちに脈動する俺の中の命……俺とサバラの子孫。 「……ちょっとしたイタズラのつもりが、まさか子まで宿すことになるとはな」 「さ、最初から、……そのつもりだった、くせに……」  サバラが前髪をかきあげ、ふうと息をつく。 「デキ婚っていうらしいぞ、人間の世界では。孕ませた方が、孕んだ相手の人生の責任を取る」 「……も、もういいけどさぁ。どうすんだよ、この腹。産んだらちゃんとインキュバスに戻るんだろうな?」 「二人目、三人目を宿さない限りはな。ペニスもそのままだし腹の中がサキュバスになっただけで、生活に支障はないだろ」 「うー……。炎樽のこと守らなきゃいけないのに……」 「守ればいいさ」  そう言って、サバラが俺の手を引き身を起こさせた。  少し膨らんだ腹に手をあて、耳元で囁かれる。 「その代わりお前と腹の子は、俺が守る」 「………」  俺は顔を真っ赤にさせて頷き、今日突然俺の旦那になったこの男に抱き付いた。

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