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再来3

目が覚めると、体が妙にだるかった。後ろには誰かが手をまわし、体に腕が巻き付いている。たぶん、江藤だと思う。俺と江藤は二人とも裸で寝ていた。おそらくここは江藤の寝室なのだろう。江藤の寝室は黒やブラウンでシンプルにまとめられていて、部屋自体も綺麗だった事に意外性を感じていた。江藤は俺が起きたことに気づいたらしく、より密着してきた。 「やっと起きた。圭吾の名前なんて呼ぶな。俺の名前を呼んでよー。」 「嫌だ。腕離せ。」 俺がもがいても江藤の腕ははずれなかった。むしろ、強く抱きしめられ苦しい。 江藤は首筋に顔を埋めて、軽く歯をたててきた。 「俺の事、弘明って呼んだら離してあげる」 「誰が…っ!苦し…っ!!」 拒絶すると江藤は更に腕の締め付けを強くした。今にも内臓が飛び出しそうな気分だ。 名前を呼ぶだけなら、と意志を示すように江藤の腕を叩いた。すると少し腕の力が緩む。 「弘明って言って?」 「弘、明…。」 苦しみに耐えられず、俺は江藤の名前を口にした。江藤は腕を離すと、満足そうに微笑んだ。もう、時間帯は夜のような気がする。どれくらい寝ていたのか確認しようと時計を見ると既に夜の8時を回っていた。慌ててベッドから出ようとするが、江藤が出してはくれない。 「家には電話しといたから、泊まってきなよー。」 「何、勝手なことしてるんだよ!」 江藤は俺の携帯を使って母親に電話してしまったらしい。変なことを言っていないか心配になった。無論、泊まって行くつもりはない。今日は日曜日で明日は学校があるからだ。 「俺は泊まるつもりはない!明日は学校なんだ…。」 「んー、仕方ないなあ。服は濡れちゃったから貸してあげる。 意外に江藤はあっさり帰ることを認めた。帰してくれるとは思わなくて、拍子抜けだった。 ベッドから出て、江藤はクローゼットから服を一式取り出した。しかも、下着は未開封の物で予備用に置いているものらしい。江藤が渡してきた服はジーンズと江藤にしてはシンプルな服であったがどちらもブランドもののようだった。江藤と俺は体型は似ている方で、サイズの方は心配いらないだろう。さっそく着ようとした時だった、ふと横にあった全身鏡が目に入る。キスマークらしき内出血や抵抗した時の痣が全身に残っていた。昨日のものか今日のものかは判断できない。ただ首筋のものは江藤のものだとすぐにわかった。 「…。」 汚い、と感じた。全身を掻き毟りたくなるような衝動。 圭吾には見せたくない、見せられないと思った。 服を着替えると、江藤も着替えていて送ってくれるという。女ではないからと言ったが江藤は頑なに拒んだため、結局、江藤に家まで送られ、江藤の優しさが気味が悪かった。

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