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約束3

目が覚めたのは次の朝だった。薬の効果はもうきれているから、動こうと思えば動けるが動く気にはなれなかった。尻が痛い…慣らしもせずに挿入すれば当たり前か。 「……っ」 「泣いてるの?」 圭吾が昨日とは違う服装で現れた。俺の体が綺麗になっている所を見ると、風呂に入れてくれたらしい。泣いてしまっていたのだろうか、と頬に触れると確かに泣いていた。圭吾が嫌いになった?と聞いてきたので俺は首を横に振る。 「ご両親には連絡済みだから、安心して。俺はこれから部活だから、好きな時に帰っていいよ。これ鍵と服だから。」 圭吾は俺の横に鍵と服を置いた。そして俺の額にキスを落として、愛しそうに見つめる。 「このピアス外したらお仕置きだから。今度は胸の方に付けようか?あと、江藤にもう関わるな。」 圭吾は俺のピアスを強く引っ張った。俺は痛みに短い悲鳴を上げる。圭吾は何度も引っ張り、俺をいたぶると満足そうに部屋から出て行った。 「う…痛っ。」 俺は立ち上がろうとしたが痛みによって床に崩れ落ちた。俺は痛みに耐えやっとの事で服を着て、家から出た。足が重くて全然進まない。半分ぐらい歩いた頃には既に昼を回っていた。何度も休憩したから仕方ない。歩く度に俺の体が何度も悲鳴を上げているのだから。 「俊哉!」 声がして、振り返ると江藤がいた。そういえば、バスケ部は午前中までだった気がする。それにこの道は江藤のマンションがある通り道だ。だから、江藤がいてもおかしくない。俺は返事をしようとしたが、圭吾の言葉を思い出して、何も言えなくなってしまった。 「…ってどうしたんだよ!?顔が真っ青だぞ!?」 江藤が俺の顔を見て、叫んだ。よほど酷い顔色なんだろう。 「何でもない…大丈夫だから…。」 「圭吾か…!?」 「…。」 俺は江藤から逃げるように歩こうとしたから、手を掴まれて動けなくなってしまった。 すると俺の体がバランスを崩し地面に向かって傾く。けれど、地面には倒れなかった。江藤が支えたからだ。 「俊哉!」 「…ごめん、俺もう…。」 「やめろ!聞きたくない!」 俺は無意識に江藤に謝罪していた。俺の様子を見て、江藤は舌打ちをすると俺の体をおぶった。江藤の背中が温かい。俺の体温が低いのかもしれない。 「ごめん。」 俺はもう一度江藤に謝った。江藤と接触してる箇所が熱い。もう江藤に関われない。 きっと、今までみたいにお弁当を一緒に食べることはないだろう。 ◇◆◇◆ どうやら、俺は眠っていたらしい。目を開けると自分の部屋のベッドに寝ていた。両親は今日も仕事でいないから、江藤が寝かせてくれたのだろう。横に顔を向けると心配そうな江藤の顔があった。 「大丈夫か」 「…うん。」 俺が頷くと江藤は俺を抱き締めてきた。その手は微かに震えている。 「無理するなよ…っ、圭吾に何かされたんだろ? 俺、ほっとけないんだよ…!」 「何もされてない…俺は大丈夫だから…。」 俺も江藤を抱き締めた。言いたくないけど、言わなければいけない。今更、遅いけど気付いたんだ…江藤との時間は楽しくて、俺は江藤ともっと仲良くなりたかった。でも、この気持ちは伝えられない。俺といたら圭吾が何をするか分からない。 俺は江藤の体を離した。 「もう、俺に関わらないでくれ…俺が本当に好きなのは圭吾だから。」 江藤は俺の顔を見て、何かを言いたそうだったが、眉間にシワをよせ、切なそうな表情を浮かべた。 「何で俺じゃダメなんだよ…!」 「うっ、ひっく…、お願いだから、もう放っておいてくれ!俺は圭吾しかいないんだ、圭吾に嫌われたくない…。」 江藤は何も言わずに出て行った。 今度は一人っきりで泣いた。胸が苦しくて仕方ない。

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