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1話

俺の初恋 ――ついに言っちまった。 しかもまさかのOK。 想像の上を行き過ぎて心臓止まるかと思ったじゃねぇか、くそ。 俺はさっき男に告白した。 頭イカれたかと思ったが、それは俺も思う。 いまだにドクドクとした俺の心臓と、 浅い呼吸を落ち着かせながら、さっきの出来事をもう1回だけ思い出した。 『俺、お前のこと多分好きだから付き合って欲しい』 『は?いきなり何。お前って、え?C組の?』 『そうだけど。』 『なんで俺?……ていうか男だろ?』 『んなもん見りゃ分かるだろ、うるせえな。俺はイエスかノーかって聞いてんだよ!さっさと答えろ』 『まじか』 驚いて固まるアイツ。 こっちの命懸けの告白に対し、怪訝そうな顔をしてこっちを見るアイツが、未だに頭をこびり付いていた。 ーー神之木 (カミノキ)(ライ) 皆から"ライちゃん"という謎の愛称で呼ばれている俺は、その高校に入学してから既に2年も経っているのにも関わらず、いまさら初恋かも分からないものに悩まされている。 しかもその初恋相手は、俺の人生初の告白をかんたんに了承してしまった。 アイツはどう見ても、俺の事を好きでも恋愛対象として見ているわけでもないことは明確。 はあ?とは思ったものの、俺はイエスの言葉を聞いたあたりから正直あまり記憶がないから良いように解釈することにする。 告白する後ですらいきなり胸がキュゥと締め付けられるように痛くて、変な汗が流れ、そればかり考えてたらいつの間にか足はC組の自分の教室へと逆走していた。 正直なとこ頭の中でなんで付き合えたのかも意味わからないし、なんで告白したのかも分からない俺。 顔が良いからこその強気な雰囲気があるというダチから定評のある俺の顔と、いいえとは言わせない圧倒的な目力を考えれば……理由なんて当たり前のように分かるはず。 だが心はもうすっかり恋する乙女である俺は、明日からどうするのか、どうすればいいのかとそんなことばかり日が暮れるまで悩んでいた。

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