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相変わらず目の保養なんです。

響子さんたちが出勤してきて、社長ともあろうものが最後に出勤してくるとかありえない。 また夕べも厭らしいお店での接待とは名ばかりのお楽しみをしたに違いない。 呑気に欠伸をしている社長にコーヒーとほうじ茶を混ぜた物をだしたら一口飲んで噴き出した。 ざまーみろ。 社長の誠一は私の父だ。 幼い頃母と離婚し、それから男手一つで私を育ててくれた。 感謝と尊敬は多分にある。 嫁ぐまでは、と成人しても誠一と一緒に暮らし家の事はほぼ私がしている。 でも私ももういい年だ。 いつまでも会社でラブラブな二人を愛でて満足している場合ではない。 数年前までは結婚なんて考えてもなかった。 でも……会社で遥さんと侑司さんを見ているうちに気持ちが変わってきた。 互いを大切に思い合う二人。 私の理想がこの二人だと誠一に告げたら顎が外れるんじゃないかと思うほど唖然としていたっけ。

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