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俺は心配なんです。

昼過ぎ侑司が事務所に戻ってきた。 事務所に入ってくるなりネクタイを緩める姿に真由ちゃんが切なそうなため息を吐いた。 ネクタイを緩める様、シャワーの後の濡れた髪、上着を脱ぐ仕草、家でだけかける眼鏡。 腰が疼くような、今は何も埋められていないあの場所に何故侑司がいないのかと思ってしまうこの感情に耳だけじゃなく身体まで熱くなる。 ただいまと笑顔で近寄る侑司の頭を叩いた。 「ネクタイ緩めるな」 「あ、すいません、暑くて…」 そういうお前を知るのは俺だけでいいんだ。 他の誰にも見せるな。 俺の視線を受けながら、真由ちゃんが出してくれた冷えた麦茶を一気に飲み干し侑司が笑う。 「うおーい、お疲れさーん」 誠一さんが首にかけたタオルで汗を拭き拭き入ってくる。 侑司と俺を交互に見てふっと笑うと自分のネクタイを緩め襟から抜いた。 「ネクタイなしでいいぞ。クールビズってやつ」 喜ぶ俺たちとは反対に慌ててすっ飛んで行った真由ちゃんが誠一さんの首のタオルを締め上げている。 「今更!?今更ネクタイなしって!?馬鹿じゃないの!萌えアイテムってことわかって言ってんの!?」 「も?もえ?」 タオルで首を締められている誠一さんを助けに侑司が間に入る。 「ちょ、っと、真由ちゃん」 「侑司さんは黙ってて下さい!」 やいやいと揉めているのを離れた場所で見ながらネクタイを抜き取る。 一番上のボタンを外すと息苦しさからようやく解放された気がした。 「侑司」 「はい?」 振り向いた侑司のネクタイを緩め襟から抜き取ると真由ちゃんがその場に崩れ落ちた。 ボタンを外してやってから真由ちゃんに手を貸すと立ち上がりながら真由ちゃんが俺を睨んだ。 「…わざと、ですね」 「ごめんなさい」 未だ睨むような視線で俺を見る真由ちゃんににこっと笑ってみせた。

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