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懲りない俺でごめんなさい。
今日は昼から内勤。
嬉しくてつい緩む頬を意識して引き締めながら事務所に戻ると真由ちゃんがいつものようにお帰りなさいと笑顔で迎えてくれる。
遥さんは、と面接室を見るとちょうど初見のお客様と面談中だった。
いつになく楽しげな遥さんの様子にちらちらと視線を送っていると、遥さんが立ち上がり面接室のドアが開いた。
「瀧田、ちょっといい?」
言い終わらないうちに椅子から立ち上がる。
言い慣れない名字を呼ぶ遥さんに萌えたことは内緒だ。
面接室に入り、初見のお客様に名刺を渡す。
立ち上がり両手で名刺を受け取った男はヒグマのようなでかさだった。
ピチピチのVネックのTシャツから胸毛がこれでもかと溢れている。
「蜂屋藤治郎さん。社長の知り合いだそうだ」
ヒグマのような外見で蜂………
頭の中に黄色いクマとみつ蜂が浮かび吹き出しそうになった俺の尻の肉がひゃっと声を上げそうになるほど抓られた。
「ハッチーでも藤治郎ちゃんでも好きなように呼んでくれ」
がっはっは、と笑う姿は本当にヒグマのようだ。
ヒグマはもとよりそのTシャツはサイズが合ってないような……
そしてVネックから溢れる胸毛は何アピールなのか………
胸毛から目を離せない俺の後頭部がスパンと叩かれた。
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