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懲りない俺でごめんなさい。

「…………胸毛?」 「藤治郎さん、凄かったって言ってたでしょ…」 俺の顔を見た遥さんがふはっと笑う。 「何、まさか胸毛にヤキモチ焼いたとか言わないよな」 「そうですよ」 言い切った俺を見てまた遥さんが固まる。 「何にでもヤキモチやくの知ってますよね?胸毛にも焼きますよ!」 「お、まえはとにかく頭がおかしいっ」 スパンと軽く頭を叩いた遥さんが足早に歩き出す。 「遥さんが胸毛好きなら今から生やします!」 「別に好きとか言ってないだろ!それにこれまで生えてないのに生えんのかよ」 「気合いで生やします!」 「気合いで生えてたまるか!」 「他の男を見ないで下さい!」 俺の乞うようで悲痛な声に振り返った遥さんの眉毛がきゅんと下がった。 困らせている。 子供のようなわがままを言って自分だけの気持ちを押し付けている。 遥さんの気持ちが俺にあることはわかっているのにいつまでたっても余裕のない俺。 本当はヤキモチなんか焼きたくない。 多少のことには揺るがない余裕のある男でいたい。 そう思うのにどうすればいいのかわからない。 遥さんの全ては俺にだけ向いていればいい。自分でも気持ちが悪くなるほどのこの思いは何だろう。 ほぼ無言のまま家に帰る。 音を立ててドアが閉まる。 もういっそのことこのまま遥さんを閉じ込めておきたい。 俺が全てやるから。 俺が稼いで家事も何もかもするから誰にも見せたくない。 好きで好きで、好きすぎて怖くなる。 常に手を伸ばせば届く場所にいて、その目に映すのは俺だけでいい。 こんなふうに思うのは遥さん、あなたにだけなんです……

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