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兄嫁はうちの家族を救う。

第四土曜日。 うちの両親はこの日を大晦日かってくらい楽しみにしている。 おにぃが可愛くて美人なフェロモン嫁、遥さんを連れて帰ってくるからだ。 何ならおにぃがおまけみたいなものだ。そして私も。 なんだ、また帰ってきたのか。 おとうに言われた。 毎月はさすがに帰って来られないというのに我が娘にかける言葉とは思えない。 たけど、それを許せてしまうほど遥さんは可愛く美人なのだ。 あのおにぃに何年も付き合っていられない、飽きたところを掻っ攫おうと目論んでいたけど、遥さんは一向に飽きる気配がない。 それどころか益々おにぃを見る目が好き好き愛してるに変わっていってるのが腹立たしい。一体どんな手を使って遥さんを捕まえているのか。 リビングのソファに寝転んで携帯ゲームで遊んでいたらおかあにどいてと言われた。 「遥さんが座るとこなのよ、寝転んで髪の毛落とさないで」 実家だというのに寛げないなんて。 でもあの遥さんが来るんだ。両親の喜びもわかる。 いつの間にか決まった月に一度の訪問。その訪問に毎回遥さんは手土産を欠かさない。 恥ずかしそうに呼ぶお父さんお母さんに両親が悶えるのはいつまで続くのか。 車のエンジン音が聞こえ、そわそわしていた両親が玄関にすっ飛んで行った。 決して広いとは言えない庭から炭の匂いがする。 遥さんに気兼ねなくたくさん食べて欲しいから。 その理由だけで今日の昼ごはんはバーベキューになった。

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