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兄嫁はうちの家族を救う。

「俺の愛は侑司。侑司そのもの」 遥さんはそう言って私の肩をぱんと軽く叩くとおにぃのところに行ってしまった。 周りの異性カップルは不満だらけ。 脱いだ服を片付けない。 家事を手伝わない。 テレビをつけっぱなしでソファで爆睡。 言い出したらきりが無い。私もそうだった。 嫌なとこばかりを挙げ連ね、自分を正当化してたのかもしれない。 愚痴や不満を口にしても長く付き合ってるのは何故?嫌なら別れればいい、他に合う人がいるかもしれない。 でも違うんだね。 愛があるから一緒にいるんだ。 「ねぇおにぃ、遥さんの嫌なとこある?」 今まさにお肉をあーんして遥さんに食べさせようとしていたおにぃが動きを止めて目を見開いた。 「何言ってんだよ、お前」 遥さんにベタ惚れのおにぃに聞いたのは間違いだったか。 「この人の大雑把を知らないだろ。毎日毎日飽きもせずお掃除ロボットさんの邪魔するし、掃除は何度言っても隅っこ放ったらかしだし、変な下着を買ってきては履かすし」 おにぃの横でいい肉を噛みながら遥さんが眉間に皺を寄せる。 「この人を丸ごと愛せるのは俺だけ」 ため息のように吐き出すおにぃを遥さんが蕩けそうな笑顔で見詰めた。 嫌なところも丸ごと愛せる、そんな男と出逢うまでとりあえずおにぃの後釜を狙う。 遥さんはやっぱり綺麗で可愛くて……不思議な、私の理想の男だ。

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