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進歩のない俺に呆れないでください。

「よく煽らないでくださいって言うでしょう?」 「ああ、うん、そういやそうだな」 髪が頬に耳に当たり息が首筋を擽る。 こんな些細なことも刺激になるなんてこの人はきっと想像もしていない。 それもそうか、七年だ。でもたったの七年だとも思う。 この人のこれからの人生は俺も一緒だ。大雑把で能天気、でも人の痛みにはとんでもなく鋭いこの人をもう一人で泣かせたくない。ずっと、どんな時にも俺が側にいるんだとこれからも俺は身を持って報せていくんだ。 「なぁ…」 「はい」 「ちなみに聞くだけ聞いときたいんだけど…」 「はい」 「これ…なんで勃ってんの」 背中に回されていた手がそうっと俺の腹を撫でて降ろされた。遥さんの手が僅かに触れるだけでさらにむくりと頭を持ち上げる。 「それは、その…遥さんとくっついているから、としか」 「ちゅーもしてないのに?」 「キスなんかしたら完勃ちに決まってるじゃないですか!」 「え、なに、その当たり前宣言」 この先を危惧してか身体ごと俺の脚の上を後ろに下がる遥さんの腰に手を回し、元の場所まで引き寄せる。 「キスしていいですか」 「だ、だめ」 「なんで?嫌ですか?」 「完勃ちするって、それに、シャワーしたいって」 髪で半分隠れる耳。髪を耳にかけるようにして全部を顕にすると赤く染まった耳を隠すように遥さんが首を傾げた。 「耳見るなよ」 「無理です。全部見たいですから」 遥さん、と名前を呼ぶと視線を合わせ遥さんが照れたような笑みを溢す。 「侑司……」 「はい」 遥さんの腕が首に回される。 コツンと額が合わされ、鼻が擦りつけられる。 「……ちゅー」 「はい。でもいいんですか?完勃ちしたら…がおつきますよ」 ふはっと遥さんが笑う。 可愛い。たまらなく可愛い。笑顔の遥さんが一番可愛い。 「いーよ、がおっても」 じゃあ遠慮なく。 そう言った俺の唇に遥さんの唇が重なり、と同時にさらに首を引き寄せられる。 強請るように絡みつく舌を吸いながらリビングのラグの上に遥さんを寝かせた。 潤む目で俺を見上げる遥さんの前髪を上げ額にキスを落とすと、抱っこと甘えた声で強請られた。 「好きです、遥さん、大好きです」 言ってから強く抱き締める。 俺も好き、と照れた声が返ってきたのを合図に俺は貪るように遥さんを抱いた。 朝ご飯のことも、とっくに終わった洗濯機に入れられたままの洗濯物のことも忘れて。

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