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※受け止める全て。
エレベーターに乗り込んで侑司の横顔を盗み見る。
「あのさ」
「はい」
「わざとじゃないから」
「……はい?」
「変にヤキモチやかそうとか思ってないから」
「……はい、わかってます」
ごめんなさい。
小さな声が謝る。
ふわふわの、でも少し硬い癖っけに顔を埋めたくなった。
お前だけだよと抱き締めたくなった。
「なぁ、俺ら何年経っても進歩しないな」
「……はい」
くしゃと顔を歪めて笑う侑司。
ネクタイを引っ張って前のめりにつんのめった侑司にちゅーをした。
「は、遥さん、監視カメラが」
「見て見ぬ振りしてくれるよ、きっと」
「…はい」
笑いながら侑司が顔を傾ける。
目を閉じ慣れた熱を受け止めた俺の首筋に侑司の手が触れる。
触れるだけのちゅーをし、顔を離した侑司はいつもの顔で好きですと笑った。
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