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いつまでも敵わない。

「しりとり記憶ゲームはどうですか?」 「へ」 「しりとりをしながら相手の言った言葉も覚えていくんです。思い出せなかったり、ん、がついたら負け」 「んーまぁそれなら…」 「じゃあいきますよ!キス」 また下ネタくくりにするんじゃないだろうな。 睨む俺にニコッと笑ってみせる侑司。 「キス、すいか」 「キス、すいか、かくさん。あ!ん、がついた!」 「え」 「俺の負けですね!」 「へ、もう?」 「はい、いやーやっちゃったなー、こんなあっさり負けちゃうなんてー、さぁ風呂行きましょ!」 「え、いや、あの」 「俺が負けたから遥さんの身体と髪、俺が洗いますね!」 言い終わると同時に横抱きに抱き上げられた。 「お、まえ!わざと負けただろっ」 「そんな、まさか」 「俺が勝ったんなら言う事聞けよ、風呂は一人で入る!降ろせ!」 「遥さん………」 「う……」 至近距離で見せる悲しげな顔。 眉毛を下げ、目を潤ませる侑司に懇願されるように見つめられる。 「も、もう一回やろ!な?ちゃんとやって勝ったら一緒に風呂入るから」 髪を撫でながら言うと侑司がはいと言って笑った。

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