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※全て俺のです。

「いてっ」 「あ、ごめんなさい」 遥さんが髪を切ってからバックからするのが更に好きになった。 同性の項が色っぽいなんて思ったことはない。どれほど知り尽しても遥さんだけは俺の中でいつまでも特別だ。 行為中汗が伝う項を舐め、Yシャツで隠れるギリギリの所に痕を残し、噛む。 血が滲むほどは噛まない。付いた歯型が翌日風呂に入る頃には消えてる程度。 俺より薄い肩に歯を立てると俺を受け入れている後孔がきゅうと啼きながら締め付ける。 「い、たいって……」 「でも、好きでしょう?」 ほら、また締まった。 「好きじゃ、あっ、ない…っ」 丸見えの耳は遥さん本人よりずっと素直だ。 赤く染まった耳は驚くほどに熱い。 耳たぶを舐め舌を離すことなく穴の周りに這わせると肩を竦めながら逃げようとする。 「や、ばか、やめろって」 「今更ですよ」 耳たぶに歯を立てると敏感な身体はすぐさま気持ちいいと返事をしてくれる。 「ほら、絡みついてる…」 「もういいからイケよ、ばか」 長いんだよ、と後ろに伸ばされた手が俺の下生えを引っ張った。 「中がいいですか?外?」 その悪戯する手首を捕まえ腰をぶつける。 遥さんに強請られゴムはつけていない。 激しく腰を振り、仰け反り窪む背中にキスをして答えられない遥さんに質問を重ねた。 「遥さん、どっち?」 「……っ」 遥さんが俺を振り返る。 苦しそうにも見えるほど下がった眉毛、濡れた目、半開きの唇から零れる唾液がシーツに落ちた。 「顔…」 「へ!?」 「顔に、んぁ、かけろよ…」 「っ!!」 腰が震えた。 一気に込み上げた排出感にギリギリのところで抜き、吐き出された精液は遥さんの薄く桃色に染まった臀部にかかった。 遥さんの腰ががくんとシーツに落ちる。 精液がつうと太腿に流れる。 「聞いたくせに…顔射は?」 遥さんの開いた口から出た赤い舌が自分の唇を舐めるのを見た煩いほどの心臓が夢じゃないと教えていた。 「もう勘弁してくださいよ…」 俺の情けない呟きに遥さんがふはっと笑う。 「お前にだったら汚されてみてもいいって思ったんだよ」 膝裏にまで流れた精液をすらりとした指が掬い、出迎える赤い舌が舐めとる。 「……おかわりしてもいいですか」 わかりやすい煽りに素直に半勃ちする俺を見て遥さんがまたふはっと笑う。 「いーよ。ほら」 仰向けに寝転んだ遥さんが脚も腕も広げて俺を迎えてくれる。 腕に閉じ込められるように抱きしめられ唇を合わせた。 深く絡む舌が甘えているようで可愛くてたまらない。 「バックもいいけどさ」 言いかけで下唇を吸われた。 「やっぱお前の顔が見たい」 頬を両手で包まれちゅ、とキスをされた。 「俺に夢中です、って顔見せてよ」 「……遥さんは?」 「……………お前に夢中です」 舐めて歯を立てた時より赤くなった耳。 照れた遥さんが顔を背けたせいで俺の目の前に可愛い耳がある。 ずっと短い髪のままでいい。 この可愛い素直な耳をずっと見たいから。 ずっとずっと見ていたいから。

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