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私の願いは。
翌日、出勤してきた遥さんが私のところにやって来た。
「真由ちゃん、愛ちゃんが辞めるって聞いた?」
「えっ!?」
遥さんの言葉に勢いよく上げた顔のせいで首の後ろが嫌な音をたてた。
「な、なんで…」
「さあ?今月末で辞めるんです、お世話になりましたって」
寂しくなるね、と呟いた遥さんは本当に寂しそうな顔をしている。
きっと愛ちゃんにも同じ顔を見せたんだろうな。
「遥さん!」
「はい!え、何」
「幸せですか!?」
「はい!え、だから何?」
「幸せならいいです!」
「何なの?」
愛ちゃんは幸せな遥さんを見てお別れしたいと思う。
好きな人の幸せを願える愛ちゃんは幸せにならなきゃいけない。
何か、何かしたい。
何か私に出来ることはないだろうか。
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