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私の願いは。

愛ちゃんの退職日まではあっという間だった。 昨日で愛ちゃんの勤務は終わっていたけど、渡したい物があるからとわざわざコンビニ近くのカフェまで来てもらった。 「真由さん」 私を見付けた愛ちゃんが嬉しそうな笑顔で駆け寄ってくる。 「これまでお世話になりました」 頭を下げる私に愛ちゃんが慌てるのを見て笑ってしまってから包装されたプレゼントを渡した。 「これ?」 「喜んでくれるといいけど…」 包装紙を開けた愛ちゃんの目が大きく見開かれた。 中身を見つめたまま、見開かれた目から大粒の涙がぽろりと落ちた。 「真由さん、ありがとうございます。嬉しいです、大切に……大切にします」 「………うん、ありがとう」 愛ちゃんの心からの言葉を貰ったようで、私まで泣いてしまった。

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