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※相変わらず愛しい人。

「ダメ」 「えっ」 正に俺に覆い被さりそうだった侑司の胸を押して止めた。 「な、なんで…」 「あのさ」 そのまま二人身体を起こしてソファに座り直す。 「平日はセックスなしにしてもいい?」 「えっ」 さっきから驚いたままの侑司の頬を撫でる。 表情が少し和らいだのを見て続ける。 「お前、いくつ?」 「え、32ですけど…」 「だろ?いい大人だよな?」 「はい…」 「いつまで10代みたいながむしゃらというか、そういうセックスすんの?」 「え」 「もうさ、いっつもぐっちょぐちょなるだろ、俺はヘトヘトだし、ベトベトだし」 「それは、まあ、あの…」 侑司の膝を跨いで首に腕を回す。 おでこをくっつけた後、ちゅっとちゅーをした。 「もう俺もいい年だしさ、仕事ある時はしんどいの」 な?と侑司の髪を撫で、髪に鼻を埋める。 侑司の腕が背中に回り抱き締められ、息を吐いた。 変な誤解をしないで解ってくれたようだ。 「遥さん」 「ん」 「遥さんが寝ながら俺の腕とか食べるの知ってますよね」 これまでの話題と全く違う話に瞬きが増える。 「え?それが何?」 「遥さんが寝ぼけて俺を噛むのは溜まってる時です」 「へ……だから?」 侑司が俺の腰を引き寄せながら笑う。 「遥さんが噛んだ日の夜、セックスしてるんです」 それって、つまり。 俺の性欲を解放するためにセックスしてるってこと…… 「お、まえ、俺が寝てるからって適当なこと言ってんだろ!」 「じゃあ確認しますか?」 ニヤリと笑う侑司の頬に噛みついてもちろん!と答えてやった。 セックスせずに数日。 四日後の朝、起きてきた侑司がスエットの腕を捲くる。 あちこちについた歯型は俺のものだ。 左側にだけある八重歯のようにすこしズレた犬歯。 「溜まってるのわかります?」 「溜まってない!」 顔を背けて答える俺の頬にいつものようにキスをして侑司は笑う。 性欲が溜まると噛む? そんなことあるわけないだろ。

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