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※相変わらず愛しい人。
「だりぃー………」
「だ、大丈夫ですか」
ベッドの上、うつ伏せに寝転んだ俺の腰を侑司がマッサージしている。
耳も尻尾も下げた犬のようにしょぼんとして必死に腰を揉む侑司。
「……かわいーな、お前は本当に」
「可愛いより格好いいの方がいいです」
「可愛くて格好いい。なんだっけ、スペダリ?スペシャルダーリン?」
「スパダリ、ですか、もしかして」
「あ、それ」
仰向けにごろんと寝転がり腕を広げると、侑司がくしゃと笑って腕の中に収まる。
「たまにはお前も抱っこって言えよ」
「言わなくても遥さんがしてくれます」
耳の下にちゅっとちゅーをして侑司が笑う。
それもそうか。
「抱っこ」
「今してます」
「違う。起き上がって膝に乗せて」
「あ、はい」
ベッドの上あぐらをかき、侑司が膝の上に俺を乗せる。
嬉しそうに笑いながら俺の身体を引き寄せ、お互いに抱きしめ合う。
やっぱりこれだな。
「お前の抱っこ、大好き」
「セックスは?」
「……聞くのか、それ」
「はい」
耳朶に噛み付いてやってから答える。
「大好きだよ、バーカ」
「俺もです」
「知ってるよ、バカ」
はい、と答える侑司の声が跳ねるように聞こえる。
どくんどくんと強く打つ首の脈に噛み付いた。
好きな物には噛み付きたくなる。
夢中になるとますます、堪らずがぶりと。
…………たぶん本能で噛んでるんだろうな、と思った。
侑司が好きすぎて、こいつは俺だけのものだってマーキング的な意味も込めつつ。
侑司の匂いに包まれて寝てたら噛みたくもなる。
「遥さんに噛まれるの、好きです。遥さんの物だって言われてるようで」
「……じゃあこれからも噛んでやる」
「はい」
何年経っても、いつまで経っても俺にがむしゃらな侑司。
相変わらず愛しいやつめ。
この愛しいやつは…………ずっとずっと、俺のです。
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