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※会いたい。

一ヶ月も会えないなんて初めてだ。 狭いシングルベッドで眠る慣れない夜も、朝にはここにいないはずの愛しい人の場所を空けるようにして寝ていたのを虚しい気持ちを握り潰すかのように起きる。 寂しいなんて仕事が絡んでいる以上、遥さんも俺も口にはしないが、一人では広い部屋にベッド、そこに遥さんを一人で置いておくことのやり場のない思いがずっとずっと燻り続けていた。 「俺は大丈夫です。遥さんこそ大丈夫ですか」 『俺は……大丈夫だよ』 その大丈夫さをアピールする声に、逆に胸が締め付けられる。 いっそのこと、寂しい会いたいと言ってくれたら。 会えない距離ではない、車を飛ばせばすぐに会える。 だからこそもう少しもう少しと無理を重ねる。 仕事が終われば日常に戻る。 いつもの、あの二人きりの部屋で思う存分遥さんを抱ける。 そうした結果がこれだ。 『ちゃんと飯食えよ』 「はい。………遥さん」 『ん?』 「………愛してます」 ふはっといつもの笑い声が洩れ聞こえた。 そして沈黙。 「遥さん?」 『会いたくなるから…今はやめろ』 今にも泣き出しそうな声に胸が詰まった。 声だけではダメだ。 抱き締めて、体温を、吐息を伝え合うように。 そうでなければダメだ。 『仕事、頑張れよ』 「……はい」 じゃあな、と切れた電話。 まだ繋がっているようで、まだあの声が残る耳を、暗いだけの画面に触れさせ長い時間頬から離せなかった。

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