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※会いたい。

1018。 部屋番号を何度も確かめ呼び鈴を押す。 「侑司?」 中から声が聞こえた。 電話越しじゃない、すぐそばにいる。 カードキーを差し込みランプの色が変わる一瞬に焦れながらドアを開けた。 「遥さんっ」 「ぅおっ」 抱きしめたというより突撃。 胸に肩に遥さんの身体がぶつかる感触にも泣きそうになった。 こうして触れ、改めて思う。 会いたかった。 声が聞きたかった。 触れたかった。 「遥さん…」 「ん、会いたかった…」 背中に回った腕に同じ強さで抱き締められ遥さんの身体の熱を感じる。 柔らかい髪に触れ、思い切り匂いを吸い込むと腕の中の遥さんがふはっと笑った。 「そうかなと思ってたけど、匂い嗅ぐなよ」 「もう色々と限界だったんで今日は許してください」 「匂い、嗅ぐだけでいーの?」 遥さんの声が一瞬で甘く落ちる。 その声を聞いただけで下半身が重く痺れた。 「……抱いても、いいんですか」 「そのつもりでこの部屋明日まで借りた」 遥さんの手が離れる。 赤くなった耳を見るのも久しぶりだ。 部屋の奥に向きを変えた遥さんが俺のスーツの袖を引く。 「ご褒美、だろ」 「……はい」 後ろから抱き締めると遥さんが俺を仰ぎ見ながら腕を伸ばし髪を撫でた。 「お疲れ様」 そう動く唇を見つめ、吸い寄せられるように唇を寄せていた。 食むように何度も重ね、唇の感触を確かめるように音を立て吸い付く。 止められないところまでくるのはすぐだった。

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