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※会いたい。
「ぅおおおっ!?」
部屋から聞こえた声に慌ててバスルームのドアを開けた。
ベッドから滑り落ちたような姿勢で床にへたり込む遥さんが素っ裸の俺を見上げて、噴き出した。
「お、おまっ、頭っ」
そりゃそうだ。
シャンプーしてたんだから泡がついたまま。
「遥さんこそ、何かあったんですか」
垂れてきそうな泡を髪ごと後ろに流すと、ぴたりと笑いを止め遥さんが顔を背けながらぼそりと言った。
「脚が…立たない」
「あぁ…」
そうか。
昨夜久しぶりの再会とセックスに時間も我も忘れ何度も求め合ったから。
「シャワーしましょうか、久しぶりに洗わせてください」
脇と膝の下に手を入れながら言うと、遥さんの腕が首に巻き付く。
てっきり嫌だと言われるものだと思っていた俺は逆に戸惑う。
抱き上げ真近に見える赤くなった耳にキスをすると、こっち、と小さく呟く声が聞こえ唇が重なった。
音を立てる軽いキスをしながらバスルームに向かう。
狭いユニットバスの中に降ろしてもキスは止まらなかった。
ついたままの泡を軽く流し、甘える腕に首を抱かれキスを続けたままボディーソープに手を伸ばす。
シャワーヘッドの向きを変えてから遥さんの身体にボディーソープを垂らした。
「冷たっ」
「すぐ感じなくなりますよ」
「ん…」
首、肩、腕、それから手のひらに指先。
反対側も同じように。
触れるところから熱と一緒に愛してると伝わるように。
鎖骨、胸、腹。
反応してない性器も優しく丁寧に泡で洗う。
緊張してないふにふにの可愛い睾丸も洗ってから脚へ。
膝をつき、太腿に乗せた足の裏や指まで全て洗う。
「遥さん、後ろ向いて」
「ん…」
素直に背中を向けた恥ずかしがる項に痕を残してから新たに手にしたボディーソープを滑らせていく。
項に背中、小さなお尻。
前も後ろもたくさんの赤い痕が残る。
「も少し脚開いて」
「侑司、そこはいいって」
「俺にやらせてください」
お尻にちゅとキスをすると、壁に手をついた遥さんがおずおずと脚を開いてくれた。
「力抜いてて…」
ゆっくりと指を入れる。
昨夜何度も俺の性器が出入りした狭い場所。
何度も何度も吐き出した精液を、遥さんは自分の指を入れ溢れないように塞いだ。
『ばか、抜くな、やだっ』
『萎んだら抜けますよ』
『お前のが…出てくの、やなんだってぇ……』
ぽろりと目尻から耳に流れた一筋の涙が、瞬きした次の瞬間にはとろとろと流れ続ける。
『また、何度だって注ぎます』
『……ほんと?』
『もう離れないです。今日からまたずっと一緒なんだから』
『なら、いい…』
可愛い短い喘ぎ声とともに遥さんが指を抜くと、どろりと流れる精液。
『なぁ、まだ?埋めて』
『もう三回したんでそんなすぐには勃たないですよ』
『じゃ、舐める。ゆーじ、ゆーじぃ』
『いますよ、ちゃんと』
グズグズと鼻を鳴らし縋りつく遥さんを抱き締める。
寂しいと言わせてあげられなかった。
会いたいとねだらせることができなかった。
ただ我慢させた。
もう何年も一緒にいて、時に空気のように当たり前に側にいたのに。
「侑司、まだ?」
「……指、増やしますね」
「えっ、あっ」
ゆっくりと入るところまで押し込んだ指を掻き出すように動かす。
あのまま眠ってしまった遥さんの体内に残った青臭い液。
出てこずにそのまま残ればいいのに。
俺のものだとマーキングするように。
抜いた指と共にどろりと流れる液は小さな穴に流されていく。
遥さんの微かな喘ぎ声は、シャワーの音に紛れほとんど聞こえなかった。
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