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※誰にも渡さない。
「寂しい気持ちになるな」
ぼんやりと事務所を眺めていた俺の背中から腹に遥さんの腕が回される。
「はい」
「ヤッとく?」
「はい!?」
ふはっと背中で笑う声。
「オフィスラブだろ?俺ら」
「はぁ…まぁ、そうですね」
悪戯坊主のような笑みを浮かべた遥さんが俺の肩に凭れながら腹に回した手を徐々に下げる。
「ちょ、と、遥さん!?」
「オフィスラブと言ったらオフィスでのエッチじゃない?したことなかったろ」
「それ、はそうですけど、」
「何だよ、嫌なの?」
拗ねた声に振り返ると赤い耳が目に入った。
冗談で揶揄っているんじゃないとわかった途端、遥さんの手を押し上げる熱を感じた。
遥さんがまたふはっと笑う。
「素直なお前、好き」
「遥さんに誘われたらそうなります」
股間を揉まれ、益々勃ち上がる欲望に忠実なそこに目を細めながら零す俺の首に遥さんがちゅとキスをした。
「煽った?」
「はい」
「煽った責任はとるよ」
「でも、今ローションとかゴム持ってないですよ俺」
俺の前に回り、膝をつく遥さんの手がベルトに伸びるのを止めながら慌てる俺を遥さんが仰ぐ。
「持ってきた」
遥さんのスラックスのケツポケから出てきたのは携帯用のローションとゴムが2つ。
「一回だけだぞ」
「一回だけ?」
「最初の一回は……」
遥さんの声が甘えるように艶を増した。
「飲ませて…」
お強請りの言葉に思わず唾を飲み込んだ。
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