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※誰にも渡さない。
スラックスが床に落ちる。
下着を下げられ、出てきた性器に遥さんがゆっくりと顔を寄せていく。
「本当に、するんですか」
竿に舌を這わされ、ぐぐっと頭をもたげた先端にチュッとキスをして遥さんが笑う。
「期待しちゃってるだろ、もう。治めてやんないと」
かぽりと口の中に咥えられるともう僅かな倫理観なんかどこかへ消し飛んだ。
出し入れされるたびに唾液の音がする。
正直、妄想は何回もした。
普段忙しなくみんなが働く事務所。
そこで、デスクに遥さんを押し倒し、嫌だと泣かれながらも後ろから前から快感を与え、最後にはもっとと強請らせる。
ローションもゴムもない、それでも求め合わずにはいられない性急な行為に浸る自分たちを妄想した。
それが現実になるとは。
熱いほどの口内から濡れた性器が空気に触れひんやりするたびに、嫌というほどした妄想が頭をよぎり声が漏れた。
「は、るかさん…」
「ん…」
伏せていた目を上げ遥さんの顔がまた近づく。
そこまで飲み込まなくても、と頭を止める俺の手に抗い奥まで入れ締めつけられた時、恐怖にも似た狂おしいほどの排泄感に脚が震えた。
「あ、うっ……」
愛しいこの人に性器を咥えさせる。
そして、精液を飲ませる。
後ろめたさが堪らない。
苦しそうに喉の奥まで飲み込みながら潤んだ目を上げ、またゆっくりと伏せ、喉仏が上下するのを見るのが好きだと言ったら引かれるだろうか…
喉を擦ると、猫のように目を閉じさらに受け入れるかのように首を反らせる。
咥えたままごくりと精液を飲み込む音を聞いた。
「遥さん…」
「元気になるまで、俺も気持ち良くして」
喉を撫でた俺の手のひらにキスをして愛しい人が上手にお強請りする。
そうだ。どうせなら、もっとお強請りしてもらおう。
遥さんのスラックスを床に落としながら口元が緩んだ。
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