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※誰にも渡さない。

息が上がる。 事務所は肌寒いほどだったのに、額から汗が顎に向かって流れる。 首に回された腕に引き寄せられ、流れる汗を遥さんの舌が舐めとった。 「煽りすぎです」 「だから責任はとるって」 耳元で早くと囁いた声に従い、収縮を繰り返す遥さんのそこにゆっくりと埋めていく。 震えながら小さく漏れる声に、根本まで押し込みたい欲を押さえ、敢えてゆっくりゆっくりと腰を進めた。 「それ、やだ…」 「え?」 「ゆっくりだとお前の形を余計に意識するっ…」 良い事を聞いた。 引き寄せられているおかげで顔は見られていない。 思わず上がる口角をそのままに遥さんの腰を抱き、下から何度も何度もゆっくりと突き上げた。 「あ、ゆーじ…」 「痛いですか?」 「ちが……」 遥さん、もっと強請って。 その甘えるような声でもっと強請ってください。 未だくだらないことで嫉妬してしまう俺に、俺だけに見せる姿と俺だけに聞かせる声で。 「ゆーじ、もっと早く…」 「早く?」 「……動けよ、ばか」 さっきまでよりさらにゆっくりと抜き挿しする。 抱えた遥さんの脚が震え、中の蠢きが激しくなる。 「意地悪すんな、ばか」 「さっき可愛くお強請りしてくれたのにもうしてくれないんですか」 「可愛くって、ぁっ」 首に巻き付いた手が、抱えた脚が小刻みに震えた。 小さな小さな声で、耳元でイクと言われ、それを合図に思い切り突き上げた。 「あっ、んっ、イクっ」 右脚を腹につくほど上げながらズルリと抜け出る。 ゴムの先溜まりに精液が出ていくのを、赤い顔を泣きそうに歪め遥さんが達するのを荒い呼吸をそのままに眺めた。 「エロ…」 「ばか………」

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