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※実践。
成人男性二人分の体重を一気にかけられたベッドが盛大に抗議の声を上げた気がした。
遥さんに覆い被さり濡れた前髪を掻き上げ額にキスを落とすと、背中に回された手がYシャツの裾から中に入れられた。
瞼、頬、鼻と次々に落とすキスに誘われるように、遥さんの手が俺のYシャツのボタンを一つずつ外していく。
ボタンを全部外されたYシャツを脱ぎ捨て、Tシャツの裾を持ち上げる俺を遥さんが下からじっと見つめていた。
「薄いTシャツ着てるゆーじ、エロくて好き」
「え、はい!?」
かなり酔いは覚めていると思っていたけど、違ったのか。
今夜の遥さんはいつもと違う気がする。
「薄いとさ、ほら、身体のラインがわかるだろ」
伸ばされた手が肩に触れる。
その手の熱さもわかるほど生地は薄い。
「肩も、腕も」
一旦二の腕に触れた手が鎖骨に戻る。
「鎖骨の出っ張り……あー、すげー噛みてぇ……」
「は、るかさん…」
愛しそうに鎖骨を撫でた指先が胸に降りる。
胸筋の張りを確かめるようにゆっくりなぞる動きに思わず腰が揺れた。
「同じ男なのに、俺とは全然違う身体。胸も腹も」
つうと厭らしく動く指が脇腹を降りていく。
俺の呼吸も、触れている遥さんの呼吸も荒くなっていた。
「見てるだけで堪んなくなる。この身体と、この手に愛されてんだなぁって」
「遥さん……」
「…………お前のための身体なんだなぁって」
優しくしたい。
そりゃたまには焦らして、泣くほどお強請りさせてみたい時もあるけど、恐怖にも似た快感だけを与えたい。
俺だけがこの人に与えられる極上の快感を。
なのに――――――――――
「そんなに煽って……泣いても止めないですよ」
遥さんの下唇を噛んだら、遥さんが俺の上唇を噛み返す。
「暴れないように、アレ使う?」
「あれ?」
「ホワイトデーのお返し」
「もしかして……使いたいの、遥さんなんじゃないですか?」
首に巻き付いた腕が強く引き寄せ、熱い頬が頬に触れた。
遥さんの息が耳朶を擽る。
「当たり。悪いことたくさんして…」
イカなかった自分を褒めてやりたい。
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