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後悔しない恋。
お茶に炭酸飲料にカフェオレ。
人数分の飲み物を買い込み、既に懐かしく感じる乗り慣れてしまったエレベーターのボタンを押した。
古いビルに古いエレベーター。
乗る時はいつも止まるんじゃないかとハラハラしていたエレベーターの動力音が、遥さんと乗り合わせる時だけ気にならなかった。
5階につく。
エレベーターのドアが開いた瞬間猫のような鳴き声が微かに聞こえた。
まさか。
途端に背中を嫌な汗が伝う。
また微かに甘えるような声が漏れ聞こえた。
「ゆーじ……」
事務所のドアを目の前に足が竦む。
膝から力が抜けた。
ペットボトルが入ったレジ袋が落ち、音を立てて倒れる。
「ゆーじ…、ゆーじ……」
あなたは……こんな声で好きな人を求め、好きな人の名を呼ぶんですね。
俺は……………………こんなに求められたことも、呼ばれたこともない。
いつも見つめる先には侑司さんがいて、侑司さんと話す時はいつもよりさらに柔らかい声になった。
侑司さんの遥さんを見つめる目も、そっと背中に触れる手も、拒まれることがないことを知っていた。
愛し愛される二人。
ようやくわかった。
俺もあんな風に思われ愛されてみたかった。
遥さんなら、俺の望む愛をくれそうな気がした。
思うだけじゃなく、一方的に愛し求めるだけじゃなく、好きな相手にも同じように愛し求めてほしい。
本当は、それをずっと望んでいた__________
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