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改めて誓います。

「何時だと思っとるんだ、このバカ者!」 「すっ、すみません!」 「チャイムを連打するとか、何歳なんだ!」 「すみません!緊急事態で慌てて…」 「簡単に嫁を実家に帰すなんぞ、お前は…」 玄関で言い合う二人の元にまあまあと言いながら母さんが歩み寄る。 「私も何度実家に帰りましたっけ」 「お、お前、今それを言わなくても…」 「実家の玄関先で土下座をするあなたの後頭部の可愛らしさは今でも鮮明に覚えてますよ」 「ど、土下座なんぞはしとらん!」 寝る!と叫ぶように言った父さんがどすどすと書斎に引っ込むのを三人で無言で見送った。 「す、すみません、訪問のご連絡もせずに…」 焦り困った声の侑司にチラッと顔を見る。 ここ数日、まともに目も合わせてくれなかった侑司が俺を見ていた。 泣きそうに歪められた顔も愛しい… 「いいのよ。侑司くんにも会いたかったもの」 上がってと促されリビングに通されると、母さんに向かって侑司はもう一度頭を下げた。 「図々しいお願いですが、遥さんと二人にしていただきたいんです」 はいはい。 嬉しそうに笑いながら答えた母さんが夫婦の寝室に消えると、侑司の目が俺を捉える。 「遥さん……ごめんなさい」 俺が怖いのは、何より恐れているのは、お前だよ。 いくら信じていても、人の気持ちの動きは見えない。 いつか、お前の気持ちが別の誰かに動くことがあるのかもって想像するだけで震える。 毎日のように好きですと言い抱き締めてくれるお前がくれる安心感。 それを俺はまだお前にあげられてないのか。 「そんなに証明書が大事? ……………俺より? 今、側にいる俺より大事?」 噛み締めた唇の端から涙が染み込む。 七年一緒にいるのに、あんなにたくさんお前に愛されてきたのに、たった数日抱き締められないだけで不安になる。 「ずっと離すなよ…毎日抱っこしてよ……」 あの日、お前の誕生日に誓った気持ちと何ら変わってない。 お前は俺の永遠だ。 「遥さん…」 ぎし、と床が鳴る。 俯いた視界に侑司の足先が入ってきたと思ったら柔らかく抱き締められた。 「ごめんなさい…泣かないで、遥さん」 「泣かせたのはお前だ…」 「はい……本当にごめんなさい」 「侑司…好き。俺の全部でお前が好き。俺の生涯のパートナーはお前だけなんだよ……」 俺の髪に埋められた侑司から鼻を啜る音が聞こえる。 慰めるように髪を梳かれ、僅かな隙間すら許さないとでもいうかのように強く抱き締められた。 「俺もです、遥さん……」

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