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俺と生涯を共に。

よく晴れた空を見上げる。 雲一つない快晴。 華さんの晴れ女ぶりは凄かった。 昨夜まで台風並みの土砂降りだったというのに。 明日室内に変更するのかと遥さんが薫さんにLineすると、華さんが絶対晴れるって言ってるから室内の予定はないよと返事がきた。 それに二人して首を傾げた。 今日は薫さんと華さんの10年目の結婚記念日。 内輪だけでのパーティを。 それを言い出したのは遥さんだった。 珍しいこともあるものだ。 記念日らしい記念日は誕生日しか覚えない遥さん。 ガーデンウェディングにも使われている郊外の広いレストランを貸し切り、当然華さんに内緒にできる訳もなく、 あっさりとパーティの話しをバラした遥さんは、それぞれのご両親への連絡を薫さん夫婦にお願いして、連日忙しそうに準備に追われていた。 もう高齢になったご両親のための席も、薫さん夫婦の席も色とりどりの花で飾られた広い庭。 6月になったばかりの寒くも暑くもないこの気候までお祝いしてくれているようだ。 遥さんのパートナーとして俺は勿論、うちの両親、引いては妹の那奈夫婦も招待され、内輪だけといってもかなり賑やかな場になりそうだ。 「はーちゃーん!!」 高い声に振り向くと、結ちゃんが手を広げて遥さんに向かって走ってきていた。 今年9歳になる結ちゃんは相変わらず遥さんが大好きだ。 「結、綺麗だな」 薄いピンクのドレスに身を包んだ結ちゃんは小さなお姫様のよう。長い髪を綺麗に編み込まれ、小さな生花があちこち髪に散らされている。 「はーちゃんもかっこいいよ!」 「ありがとう」 ふはっと笑った遥さん。 髪を崩さないようにそっと結ちゃんの髪を撫でた。 今日の遥さんは光沢のある紺のスリーピーススーツ。 髪を緩く後ろに流し、童顔に見えるいつもよりずっと大人びて見える。 朝からずっと隠れて何枚も写真を撮っていることはきっと気付かれていない。 「ゆーじー」 のんびりと歩いてきながら呑気な声を出したのは航。今年一年生になった。 結が華さん似、航は薫さん似。 結ちゃんは遥さんにべったり、航は俺に懐いてくれている。 どっちも堪らなく可愛い。 時が経つのはこんなにあっという間なんだな……

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