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俺と生涯を共に。
穏やかな顔をした面々が続々と集まり、パーティが始まった。
それぞれが好きなところで好きな物を食べ、喋り、広い庭が幸せな空気に満ちている。
どこまでも晴れ渡る空を見上げていると、グラスを持った俺の手に遥さんの手が触れた。
「今日はありがとう」
「いいえ、俺は何もしてませんから」
「ちょっと最後まで残ってて」
「あ、はい」
和やかな空気が過ぎていく。
招待された人達が薫さん夫婦にお祝いの品や花束を渡し、祝福の言葉を送る。
幸せな二人を見て涙腺が緩んだ。
薫さん夫婦と一緒に遥さんと並び、招待した人達をお見送り。
最後に両家のご両親と挨拶をして、パーティは幸せな空気のまま静かに終わった。
少し疲れた顔の結と航を見ていてと言われ、大きなソファのある個室に案内された。
クラッシックの流れる室内、二人がうとうとと眠り始めた頃、控えめなノックの後スタッフさん二人が入ってきて小声で言った。
「お子様たちは当スタッフが見ていますので、こちらへどうぞ」
もう一人のスタッフさんの笑顔に会釈して子供たちを任せ、誘導されるままパーティの行われた庭を横切るように歩いて行く。
「あの、どこへ」
「あちらです」
振り向きつつ示された掌の先は頭の遙か上。
高い木々の合間に小さな十字架が見えた。
「小さいですが、チャペルもあるんですよ」
「チャペル……」
いや、まさかな。
一気にざわついた胸を気のせいだと治めた。
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