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第4話

「う……、あ……」  抗議の声を上げようとしたが、うまく口が動かない。  後ろに突っ込まれる前に、散々しゃぶらされたせいだ。  男たちは、口々に金儲けの話をしながら去ってゆく。  なすすべもなく葵は、天井を見上げて涙を流すしかなかった。  もう、見慣れてしまった教室の白い天井。  明日の朝、何事もなかったようにクラスメイトが登校してくるのだろう。 「これ以上、耐えられない」  いっそもう、死んでしまおうか。  痛む体をおして、葵は服をかき集めた。  ホントに売られるくらいなら、死のう。  自由に動かない指でボタンをかけながら、葵はそう考えていた。

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