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第9話

 ルカスを部屋の前まで送ったアロイヴだったが、離れるとまだ足腰のおぼつかない彼を一人にすることはできなかった。  肩を貸したまま部屋に入り、奥の寝室へ。  ルカスをベッドに寝かせた後、水差しとグラスを手にもう一度寝室へ戻った。 「起きられるか? 水を持ってきたが」 「ああ、申し訳ない」  ぐんにゃりと横たわっていたルカスが、どっこいしょと体を起こした。  ベッドに腰かけたままアロイヴからグラスを受け取り、水を一気に干した。 「ん~、冷たくて美味い!」  さすが氷の魔術師と呼ばれるだけの事はある、と笑うルカスに、アロイヴは大げさだな、とこちらも顔をほころばせた。

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