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第4話

「……くん。伊吹くん!」 「あ、はい!」 「もう、席についていいわよ」 「あ……」  前に並んでいた新入部員はすでにばらけ、思い思いの席に掛けている。  くすくすと笑いが漏れ、忍は顔をさらに赤く染めて席を探した。  選んだ席は、もちろん俊介の近くだ。  俊介もすぐに忍に気づき、話しかけた。 「よろしく、俺は森 俊介だ」 「はい。伊吹 忍です」  すでに自己紹介は済んでいるが、二人は改めて名乗りあった。  一番に覚えた名前なのに、確認しあった。

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