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第5話

「森先輩は、この本の中でどの作品を書いたんですか?」 「あ! 去年の同人誌!」  わざわざ持ってきたのかと、俊介は頭を抱えた。  これに掲載してある作品は、感情の赴くまま筆を走らせた、恥ずかしいブツなのだ。  せめて、一昨年の本を持ってきてくれればよかったのに! 「え~、『灰竜の帝国』なんだけど……」  呆れられるかと思っていたのに、忍は眼を見開き、こぼれんばかりの笑顔になった。 「僕、その作品、一番好きなんです!」 「嘘!」

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