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第10話
はぁ~、と落ち込んでため息をつく俊介に、忍は焦っていた。
(どうしよう。僕、失礼なこと訊いちゃったかなぁ)
「あ、あのッ! サインありがとうございました!」
「ああ、ごめん。はい、どうぞ」
そう言って微笑む俊介の表情は、優しい。
「よかったら。今から一緒にお花見に行きませんか?」
「花見? 今から?」
「何だか先輩、元気ないから」
「ありがとう、大丈夫だよ。それに」
「それに?」
花見は次の日曜日に、新入部員の歓迎会を兼ねて、文芸部全員で行うのだ、と俊介は話した。
「一人につき、お菓子を何かひとつ持ち寄るんだ」
「はい、解りました」
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